水谷もりひとブログ

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出せなかった返事

Sさんへ

お手紙と著書、ありがとうございます。
お返事を書こうと思ったのですが、
お返事を書いて送っていいものか悩んでいました。

Sさんのお手紙には、Sさんが1年365日、
毎日行っている「徳積みの実践」が書かれていましたね。

駅周辺のゴミ拾い。トイレ掃除は公衆トイレ、駅のトイレ、
コンビニのトイレ、公園のトイレ、スーパーのトイレと、
トイレがあればどこでも掃除の実践をされているんですね。
しかもピカピカに磨いておられる。

それだけではなく、倒れているノボリや自転車があれば、速やかに起こす。
コンビニではレジにある募金箱に必ず10円を入れる。
ショッピングモールのカートが散らばっていたら定位置に戻す。

そしてなんと、そういうご自身の徳積みの実践を本にして出版されました。

すごいですね。素晴らしいです。

Sさんをその実践に駆り立たせた本が
『こどもたちへ 積善と陰徳のすすめ』というではありませんか。

この本によると、徳積みは「陰徳」が大事だそうです。
つまりそういう実践の数々は、
人に知られぬよう、陰でやるのです。
だから「徳積み」になるのです。

これ見よがしにやったり、
やったことを人に言いふらしたり、
自慢したりすると、
徳は消えてしまうというではありませんか。

そもそも「徳」とはそういう性質のものだそうですよ。

みんなから「素晴らしい」「すごい」「ありがとう」と
賞賛されたり、感謝されると、その瞬間、徳は消えるそうです。

Sさんに賞賛の声、激励の声を届けたいのは天なのです。
天が知っていればいいんです。
人々が先に言っちゃったら、徳にならないというわけです。

だから誰にも言わないで、
本なんか出さないで、
「陰徳」でやるのがいいんですよ。
だって「徳積み」は自分の為ですからね。

だけどもう本を出してしまったので、
今更この手紙をSさんに送っても可哀そうだし、
やっぱりこの手紙は出さないほうがいいですね。

ということで、これを読んだ人はぜひ徳積みは陰徳でやりましょう。

追伸

「徳積み」ではなく、
心から「街をきれいにしたい」「あちこちのトイレをきれいにしたい」という思いでやっているのなら、がんがんPRしましょう。本も出しましょう。
それに刺激されて実践する人が一人で増えると、
本当に街はきれいになりますし、人の心もきれいになりますから。

追伸2

「徳積み」とか一切考えず、ひたすらゴミ拾いやトイレ掃除をしていると、結果的に「徳積み」になっているということはあるみたいです。