水谷もりひとブログ

水谷もりひとブログ

毒論②

多くの人が目の前の苦悩を忌み嫌い、「幸せになりたい」と思っている。
そもそも「幸せになりたい」という欲望を持ったところから
人間は幸せを求めてさまよう迷路に入ってしまったのだ。

「目の前の苦悩をウエルカムしよう」と執行草舟さんは言う。
苦悩は苦悩として「よし」とするのだ。
それが運命なのだ、と。
その苦悩が今自分を鍛えてくれている有難い神の愛なのだ、と。

苦悩という「毒」こそが人間を真に人間にしてくれるものである。
人間をより深くしてくれるものである。

戦後の日本人の営みは、苦悩を避け、幸福を求めてきた。
それを「豊かさ」とも言った。
その豊かさを実現したら、もっと豊かになりたいと思うようになった。
不幸なこと、苦しいこと、悩みや不便なことを
現代人は一つ一つ忌み嫌ってきた。

苦悩のない人生を「幸せ」と勘違いして、
人生の中から「毒」を排除してきた。

だから敢えて、訪れる「苦悩=毒」をウエルカムするのだ。

自ら進んで毒へ向かうのだ。
毒を好きになるのだ。
苦悩しながらVサインをするのだ。

幸いなことに、高度な文明社会の中にあり、
不便なことも、困窮することもない生活の中にあっても苦悩は訪れる。
人間が人間である所以である。

そうなのだ。
私は人間なのだ。だから苦悩する。
その毒が、自分をより人間らしくし、人間性を深め、味のある人生をつくっている。
いいではないか。
思い通りにならない現実を楽しもうではないか。

どうしたら楽しめるのか?
そんなコツはない。
「思い通りにならない現実を楽しもう」と意識するだけでいいのだ。


執行草舟さんは『毒を食らえ』の中でこんなことを言っている。

「あえて毒を食らわなければ人間としての独立自尊を全うできない。
人間として生きる、その気概を保つことができない。
人間として生きるために苦悩する精神を築き得ない。

苦悩に耐えなければ一人の人間として、その尊厳をこの世に現わせない。
我々は永遠を追求し、苦痛を耐え忍んできた人間なのである。
その気概と誇りを取り戻さなければならない。
そのために必要なことが<毒を食らえ>という思想なのだ」


執行草舟さんの講演、聞きませんか?
https://miya-chu.jp/topics/?itemid=3875