水谷もりひとブログ

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「何を学ぶか」より「誰から学ぶか」

「何を学ぶか」も大事ですが、
「誰から学ぶか」はもっと大事ではないかと思います。

というのは、2年前に、
ある高齢者の、しかもそれなりの地位のある人から
論語に関する講演をお聴きしたのですが、それほど心に響くものはなく、
その先生とはあいさつだけして、それっきりになってしまいました。

そしてつい先々月、今度は論語の本をたくさん出している
論語研究家の安岡定子さんの講演を聴きまして、
たちまち論語の面白さに魅了されてしまいました。

何が違うのか。
*難しい論語を分かりやすく伝えてくれる力。
*笑顔があり、フレンドリーな語り口。
*論語の内容や知識より、論語の「面白さ」を論語を知らない人に伝えられる力。

この三つ加えて、語る人の人間的な魅力というか、人間味豊かな人格です。
これを感じたのです。

常日頃、私たちが磨いておかないといけないのは、まさにここなのです。

では、どうやって磨くのか。
その答えが論語の中にありました。

「詩に興(おこ)り、礼に立ち、楽に成る」

意味は「詩歌に触れて感性を興し、
礼儀を学んで立ち居振る舞いを美しく、
音楽に触れて情操を豊かにしましょう」

書籍からいろんなものを学ぶことは大事です。
読まないなんて話になりません。
でも、もっと大事なことは本を読む動機です。
「学びたい」「もっと知りたい」という好奇心から学ぶことです。

文学や詩歌や音楽に触れるのはそれが「面白いから」ですよね。
学問にしても、文化・芸術にしても、仕事にしても、
「面白そう」「何それ?」「もっと知りたい」という好奇心から学んだり、
触れたりすることです。

パーティなどの円卓の会食会で知らない人の隣に座ることがあります。
自己紹介し、会話しなければならなりません。

その時、「この人、面白い人だな」と思えるか、
「この人、面白くない人だな。あっちのテーブルに行ってみよう」と思うか。
それは何でも知っている人ではなく、何にでも興味津々に話を聞いてくれる人ですよね。

逆に自分自身が「この人、面白い人だな」と相手に思ってもらえるかどうか。
自分のことを話すのではなく、相手のことに興味津々聞いてあげる。


そのベースとなるのが好奇心。
好奇心を持っていると、もう日頃から本を読んだり、映画を観たり、旅行に行ったり、
自然に触れてみたり、自分の心がワクワクすることをやっているはずです。

孔子のこんな言葉もあります。
「少子、何ぞ夫(か)の詩を学ぶことなきや……以下略」

孔子の弟子たちは、詩経を暗唱できるほどの知識を持っていましたが、
それを自分の人生に生かし切れていないことを嘆いた言葉です。

弟子たちが学んでいたのは、師匠である孔子に「学べ」と言われたからであって、
「学びたい」という好奇心からではなかったんですね。