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くるみの談話室 2837号(2020/05/25)
書の持つエネルギー

取締役会長 松田くるみ
 世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るってもう3か月になろうとしています。

 接客業や教育関係者などお仕事に直接影響を受けている方々の中には「感染の不安」はもちろんですが、それ以上に「仕事への不安」を抱いているのではないでしょうか。それは「先が見えない」という不安です。

 私も、「昨今の事情により購読を中止します」という連絡が来ると、この先どうなるんだろうと心配になります。でも心配し始めると、さらに不安は大きくなっていくばかりです。
 「将来のことを考えて不安になる」というのは私の癖かもしれません。それより希望ある将来を妄想して、振舞いだけでも明るくしたいものです。

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 先週から始まった金澤泰子さんの講演会は「博多中ライオンズクラブ」45周年行事で行われたものです。

 会長の斎藤敬代(さいとう・たかよ) さんに直接お誘いを受けて取材に出掛けました。

 金澤さんの娘・翔子さんは1000人に1人のダウン症児として生まれ、小学生の時には普通学級の道を絶たれました。先が見えない中、書家である泰子さんは翔子さんに「書」を叩き込むように教えていきました。

 記事の中にも書かれていますが、翔子さんには時間の観念がありません。「将来」という未来が理解できるのは、翌日のお昼ご飯までです。ですから彼女には心配事がありません。目の前のことに100%向き合って生きているのです。

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 今年の2月、京都に行った時、翔子さんの書『風神雷神』の屏風が展示されている建仁寺に行きました。

 金澤泰子さんのお話の通り、江戸時代前期の絵師・俵屋宗達の『風神雷神図屏風』の絵がそのまま書になって表現されていて、本当に驚きました。絵の構成と書の構成が全く同じなのです。神々の勢いがその書にも溢れている感じが伝わってきました。翔子さんが起こす奇跡のひとつだそうです。

 今回、記事の掲載にあたり本紙読者のためにご著書の提供を泰子さんにお願いしたところ、翔子さんのサイン付きで5冊提供してくださいました。

 「これは将来高価なものになる」と真顔で言う輩もいて苦笑してしまいましたが、私もそう思います。

 こんな時期だからこそ翔子さんのような無心の世界に少しでも触れていたいと思いました。

(本紙会長/松田くるみ)


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