くるみの談話室 2883号(2021/05/17)
免疫力を上げるのは自助努力
会長 松田くるみ
先日、私の所属する宮崎中央ロータリークラブで、31年間勤めた警察を退職し「民間警察」として活動している三原政彦さんの話を聴く機会がありました。最近、「新型コロナウイルス関連の給付金を不正受給した詐欺事件が全国各地で多発している」などのニュースを目にします。三原さんは、「この背後には、その手口を売っている人や組織がある」と話してくれました。
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巧妙な詐欺事件の背後には、頭脳明晰な指南役が存在します。指南役は常に世の中の動きを見ながら、国の新たな施策や規制緩和などに乗じた騙(だま)しの手口を考えているというのです。
指南役によって考案された詐欺の手口は反社会勢力等へと売り込まれ、同じ手口の詐欺が全国に波及して市民が被害に遭い、詐欺グループが膨大な犯罪収益を手に入れているとのことでした。
さらに、こうした詐欺グループは組織化され、各セクトごとに法人登記して会社を設立することも珍しくありません。
また、騙し役や現金回収役などの人材を派遣する会社や、騙し役を育成するスクールのようなものも存在しているそうです。
そして犯罪収益を上げると、警察の捜査から逃れるため、その会社を短期間で閉鎖し、その後再び新たな詐欺会社を立ち上げながら、新たな詐欺を繰り返す傾向にあるそうです。
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三原さんが現役の刑事の時、逮捕した被疑者に、「お前の親分はお前のために死んでくれるのか。お前に何かあったら簡単にお前を捨てて逃げるんだぞ。本当の親は、子どもに何かあったら自分の命を差し出しても守るもんだ。分かるか」と諭していたと言います。
しかし、そういう世界に入る人たちは、幼少期に親から捨てられていたり、十分な愛情を受けていなかったりするので、そんな言葉もなかなか響かないことが多かったそうです。
今、三原さんが「民間警察」としてやっているのは、市民が被害に遭う前の啓発活動です。
たとえば新型コロナウイルスに感染すると、私たちは医療機関に頼らざるを得ません。でも、感染しないために自分で免疫力を上げることはできます。そのための知識を学ぶことは私たちにとっての自助努力です。
いかにも怪しげなメールなら私でも嘘と見抜けます。しかし世の中にはもっと巧妙な詐欺があります。詐欺に対する「免疫力」を上げるために、まずは犯罪の手口を知ることが大事です。
(会長/松田くるみ)
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2883号