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くるみの談話室 2480号(2012/10/15)
みなの衆(宗)のレベルへ

本紙代表 松田くるみ
 先週、無着成恭先生の講演を聴きました。無着先生は1927年生まれ。山形県で小学校の教師をしていた頃、学級文集『やまびこ学校』を本にして出版したところ、ベストセラーになって、映画にもなり、無着先生は当時、「時の人」でした。1950年代のことです。
 
その後、TBSラジオ「全国子ども電話相談室」では回答者として28年間、レギュラー出演されました。山形弁の語り口で、かつユーモラスな回答は大人が聞いても心が和んだそうです。

 たとえば、「宇宙とあの世はどちらが遠いのですか?」という質問に、「あの世からは帰って来れませんが、宇宙からは帰って来れます。ですからあの世のほうが遠いですね」とか、「なんで鼻は口の上についているのですか?」という質問には、「食べる前に、腐っていないかを臭いで分かるように仏様は口の上に鼻をつけたんですよ」と答えたそうです。 

◎          ◎


 講演の中で、「2+2=4と2×2=4は、どちらも4ですが、同じ4ですか?違う4ですか?」という話がありました。

 足し算の4は1次元の4で、掛け算の4は面積の4だから2次元です。同じ4ですが次元が違うというお話でした。

 これは、人間関係にも言えて、たとえばいじめをするのは自分のことしか考えていないので1次元の人。次元が低いからいじめをしてしまうんだと言います。

 また、「そもそも人間は欲張りなので、その欲をコントロールするために宗教が必要だ」と無着先生は言います。

 動物に宗教が必要ないのは、動物は欲がなく、自然の法則の中で生きているからです。そういう動物を仏教では「畜生」といいます。人間には欲があるから、それが原動力となって物づくりをしますので、「畜生」より上のレベルだといいます。

 しかし、その欲をコントロールできずに欲に身を任せた生き方をしている人は、「畜生」より下のレベルの「餓鬼」の世界の人間だというのです。

 電気がもっと欲しいからといって、まだ完全にコントロールできない原発に依存するのは、「餓鬼」のレベルの人間だと、ちょっぴり皮肉を込めて話されました。

 また、竹島などの領土問題で、国家同士の正義がぶつかり合うのは、かつての戦争の時代のレベルから全然成長していないとのこと。人生も国家も次元を上げていくことの大切さを説かれていました。

◎          ◎


 今回の講演は、友人の岩崎和尚が宮崎市に開山した「自然寺」というお寺の開山10周年記念行事でのことでした。自然寺は浄土宗。無着先生は曹洞宗のお坊さんです。岩崎さんは言います、「私たちはみなの衆(宗)ですからいいんです」と。
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