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くるみの談話室 2415号(2011/06/06)
褒めるだけでいいんです

本紙代表 松田くるみ
大学の同窓会のために帰郷し、宿泊したホテルで、いつもと違う光景を目にしました。朝食時間のレストランがスポーツウェアの男女でいっぱいだったのです。

 近くにいた男性に「今日は何かあるのですか?」と尋ねると、「今日は清流マラソンです。高橋尚子選手がお世話になった岐阜に恩返ししたいということで、一緒に走るんです。1万人が参加するんですよ」

 チェックアウトしてホテルを出ると、偶然さっきの男性とまた一緒になり、よもやま話をしながら歩きました。別れ際に「マラソン、頑張って下さい」と言ったとき、その人は私が舞い上がってしまうような言葉を返してくれたのです。「今日は女神に逢ったので大丈夫ですよ」って。

 実は、前の夜は農学部の同窓会で、女性は私一人。女性である私が嬉しくなるような洒落た言葉を掛けてきた同級生は1人もいなかったなぁと改めて思いました。

 だから、「女神に逢った」と言われたことが嬉しくて、その日は1日中気分がよかった単純な私です。

    
 ◎      ◎


 13年前に1人でヨーロッパに行ったことがありました。ウィーンでドイツに向かう列車を待っていたとき、年配の男性が近寄ってきました。私は少々警戒していましたが、おしゃべりしているうちに列車が来ました。別れ際に私の手を取り、すっと手の甲にキスをし、私の目を見て「ビューティフル」と言ったのです。そして当然のように私の荷物を持って列車の中までエスコートしてくれました。

今までそんなことをされたことがなかったので、驚いたと同時に天にも昇るような気持ちになりました。

     
◎      ◎ 
   

 女性同士ではお互い「今日の服、ステキ!」とか「美容院行った? その髪型似合ってるね」なと、気軽に言い合っていますが、異性から褒めてもらえるのはまた違った喜びがありますよね。

 半分嘘でもいいから嬉しくなる言葉掛けを日本の男性も練習して欲しいと思いました。やっぱり欧米の人が下心なく、さらりと相手が喜ぶ言葉を言えるのは、日頃から褒める言葉を口にしているからだと思います。

 どうぞ褒めやすいところから…、たとえば、「今日は顔色がいいね」とか「髪切った? 雰囲気が違うよ。いいね」とか、心にもないことでもいいのです。幸せを感じる言葉を周りの女性に配ってください。これだけで日本の人口の半分が幸せになります。
 
      
(本紙代表・松田くるみ)
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