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くるみの談話室 2406号(2011/03/28)
被災地と電話で・・・

本紙代表 松田くるみ
 東日本大震災からあっという間に半月が過ぎ、ようやく被災地の読者の方々と電話が繋がるようになりました。

 先週は100人くらいの読者さんと電話でお話することができましたが、津波で町ごと被害を受けたところは未だ連絡も取れない状態です。

 沿岸部以外の地域では「家の被害もありません。大丈夫です」という声が多かったです。

 私が一番驚いたのは、電話をしたとき、「宮崎も大変なのに、こんな遠くまで気を遣ってもらって、ありがたいです」と声を詰まらせながらおっしゃる方が多かったことです。

 「少しの不便はありますが大丈夫ですから安心してください」「本当に電話をもらって嬉しかったです」と、素直に喜んで下さいました。電話を掛けた私が励まされることもたくさんありました。

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 「食べ物が少ないので実家に親戚一同集まって生活をしています。おばあちゃんが一番張り切っています。毎日笑い声が絶えません」と話していた若い女性は、「畑から野菜をとり、薪を使って食事を作るという昭和の生活を味わっています。こんな家族もあることをお伝え下さい」とおっしゃっていました。

 もちろん、被災のひどい方々には掛ける言葉も見つかりませんでした。「私たちとしてできることを考えています」と言うのが精一杯でした。

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 中には「2日間屋根の上で過ごしました。重油が流れ、火の海を一両日眺めていました」と話されていた方もいらっしゃいました。その方は屋根の上で「なんで私は助かったんだろう」と考えたそうです。そして、震災がきっかけでわだかまりがあった家族の絆が取り戻せたことも話して下さいました。

 「今まで年賀状のやりとりだけだった人たちが心配して電話をあちらこちらから掛けてきてくださるんです。こんなに心配してもらうことが嬉しくて泣けてくるんですよ」とおっしゃった方も。

 その女性は「洗顔もずっとできなかったんですが、かえってお肌がつるつるしちゃって、今まで洗い過ぎていたのかしら?」。そして「トイレなどの水は近くの川から汲んでいるのでダイエットになっています」なんて話も。

 きっと大変な状況なのに小さな幸せを大きな喜びに替えながら奮闘しているんだなあと思い、受話器を置いた後、胸が詰まりました。

 電話を掛けるまですごく心配でしたが、声を聞いて安心できることも多くありました。何より人は声を掛け合いながら元気を出していることがよく分かった一週間でした。
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