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くるみの談話室 2397号(2011/01/17)
怒らない修行

編集部 松田くるみ
 昨年の暮れ、大学生の娘が「この本、面白かった。読んだらいいよ」と言って見せてくれたのが『怒らないこと』(サンガ新書)でした。タイトルを見るなり「私がいつもブツブツ言っているからかしら」なんて、心の中でちょっとイラっとしました。

 著者はスリランカ仏教界の長老でアルボムッレ・スマナサーラ氏。スリランカ生まれですが、日本の大学に留学して博士課程を修了し、日本で「初期仏教」の布教に努めておられます。

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 私には3人の子どもがいます。正直なところ、3番目の長男にはよく怒っています。朝なかなか起きない。せっかく作った味噌汁を飲まないで学校に行く。前日に言えばいいのに、朝思い出したように「あれある?」と言う。時々学校から「給食着忘れた。持ってきて!」と電話してくる。こういうことがある度に怒っています。怒らないで日々を過ごせたら心が穏やかなのに…と思っていました。

 スマナサーラ氏は「『怒り』が生まれると『喜び』を失う」と言います。

 今自分が怒っているのかどうかは「今楽しい?」と自問すればいいそうです。「つまらない」とか「楽しくない」というときには、心のどこかに怒りの感情があるというのです。

 たとえば、張り合う気持ち、嫉妬、物惜しみ、反抗的な態度、後悔、これらは幸せと思えない感情ですが、それらも「怒り」の一種なのだそうです。

 もう少し掘り下げると、怒る気持ちの背景には「自分は正しい」という思いがあります。笑顔で「あなたは間違っていますよ」と言えばいいのに、怒ってしまうのは「自分は正しくてあなたは間違っている」という気持ちがあるからです。

 また、自分の思い違いや勘違いで怒ることもよくあります。私が思い違いをする間違いだらけの人間だから怒るわけで、そんなことで怒るのは「バカなこと」と思えるようになると、怒りの感情から解放されるそうです。

 些細なことで怒っている人は「私はバカです」とみんなに公言しているようなものなのだそうです。

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 読み終わった私は気持ちが昂っていたので、「よし、今日から怒らない修行をしよう」と思いました。その夜、家族で外食したのですが、些細なことでまた息子とケンカ。瞬く間に楽しい家族団らんの場に気まずい空気が流れました。

 よく考えてみたら、私は怒らない修行をしているのに、息子は修行をしていないわけで……。一年の最後に大きな反省をしました。今年に入ってもまだまだ修行は続いています。
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