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くるみの談話室 2392号(2010/12/06)
飛び込み営業から全国大会まで

本紙代表 松田くるみ
 先月15日、理容師の団体「早苗会」の全国研修会宮崎大会が開かれ、基調講演に水谷が招かれました。この講演を聴きながら19年の歳月を思いました。

 本紙が今のカタチになったのは草創期に遡ります。職安で見つけた新聞社に水谷が入社し、1年ほどで新聞を前経営者から譲り受けました。当時は部数も少なく、内容も読み応えがなく、あまり評判もよくない新聞だったのですが、私たちにはこのたった1枚の新聞に大きな希望を感じました。

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 水谷は内容を刷新し、「読んで感動する紙面を作る」と意気込み、私は「見本紙を読んでみませんか」と飛び込み営業を始めました。

 その草創期に飛び込んで温かく受け入れて下さった一人が松元理髪店の松元貞利さんでした。

 お店に飛び込んだとき、接客中だと怪訝な顔をされることが多いのですが、松元さんは嫌な顔一つせずに、手を動かしながら私の話を聞き、「じゃぁ、一部置いといて」と言われました。

 その後、松本さんをインタビューする機会がありました。松本さんは「同業者はライバルじゃないんですよ。この業界全体が引きあがっていかないといけないんです。だから共に学び合いながら育ち合いをしています」という話をされたことがとても心に残っています。

 今回の全国大会を主催した「早苗会」も「共に学び、共に育つ」ことを理念としています。

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 松本さんはその後、「知り合いを紹介してあげるから、その人たちに新聞を送ってみて」と言って、同業者の方たちを紹介してくれました。

 それまで営業は一軒一軒回りながら、お客さんを獲得していくものだと思っていたので、お客さんがお客さんを紹介してくれるということを初めて経験し、びっくりしたのを覚えています。

 そのお一人が河野道子さんという理容師で、彼女が今回の全国大会の事務局をされていて、講師に水谷を選んで下さったのです。19年前の松元理髪店さんとの出会いが、今回の全国大会に繋がったことを思うと、私は感無量でした。

 講演後の懇親会で、一人の若者が声を掛けてきました。

 「松田さんが飛び込み営業で来られたとき、私はあの場にいたんですよ。当時は松元理髪店で修業していたんですけど、今は独立しています」

 この話にも私は胸が熱くなりました。

 飛び込み営業をしていた時代に出会った人たちは私にとって忘れられない人たちです。
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