くるみの談話室 2606号(2015/06/22)
ショッククリニックセミナー
本紙代表 松田くるみ
先週、福島の渡辺経営コンサルタント事務所が主催する2泊3日の「第31回ショッククリニックセミナーin京都」に参加してきました。京都といえば、伝統と革新の町です。古くから良質の水に恵まれていて、その水を利用して染物が盛んに営まれていたそうです。
(株)村田染工(せんこう)さんでは、昔は職人の加減でやっていた仕事をデータ化して、いつでも同じ色を出せるように情報がストックされていました。掛け軸などの表装に使われる生地を見せてもらったのですが、異なる染料を用いて一瞬にして同時に染めるとのこと。糸と染料の相性や温度を調整することで可能なのだそうです。
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写真(左)は、初日に訪問した㈱最上インクスさんでいただいたサンプルの「蟻(アリ)」です。
昭和25年創業の金属プレスの会社で、得意分野は薄型金属をプレスすること。現在は携帯電話の充電コードをつなぐ部品や機械の熱を逃がす放熱フィンなどを作っています。
見せてもらった見本の数々は、表面だけでなく内側まで精巧に作られているので、作れないものはないと思えるほどです。
この「蟻」の触覚からお尻までの長さは2.7㍉。ちゃんと手足がついていて胴体も膨らんでいます。手足の直径は0.08㍉。どのようにプレス加工するのかと思うほど精巧です。
このような技術を何に活かしているのかと言えば、試作品づくりです。「こんな部品があれば夢のある製品が作れるのに」と悩んでいるお客さんに1週間ほどで試作品を提供しています。
従来だと製品見本の金型づくりから始まり完成まで1か月かかってしまう試作品が1週間ででき上がります。
イメージと異なるなどの理由で作り直しがあっても、早くやり直しができます。
3代目社長・鈴木滋朗(すずき・しげあき)さんの「お客さんの製品づくりの『困った』を解決してあげるのが仕事で、こうした問題解決は価格競争されにくい」というお話は大変参考になりました。今では試作品づくりの速さを売りに、ドイツや北米でも販路を広げています。
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試作品に活路を見出した過程には、最初は無料で受注しながら、その出来栄えで勝負してきた鈴木社長の営業があります。「軌道に乗っていても時代が変化するのが常態化しているので、変化の先頭に立って、変化を起こす側にいくのだ」と話されていました。
時代の変化が怖いと思う私とは正反対の考え方にショックを受けました。ゴマ粒みたいな蟻に日本の企業の心意気を見させてもらいました。
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2606号