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くるみの談話室 2508号(2013/05/27)
皮膚感覚に馴染む和の文化

本紙代表 松田くるみ
 半袖で日中を過ごすことが多くなってきました。先日、腕に何かが触った感じがしたので目を落とすと、一本の髪の毛がゆらゆらと腕にひっかかっていました。腕の皮膚感覚ってすごいなぁと、ひとりしみじみ驚いていました。

◎          ◎


 以前、本紙で掲載した「博多の歴女」の白駒妃登美(しらこま・ひとみ)さんや、礼法講師の森日和さんのお話に刺激を受け、生活に「和」を取り入れるようになりました。

 たとえば、それまで手紙を書くときは万年筆を使っていたのですが、最近では筆ペンになりました。最初の頃はなかなか慣れず、半乾き状態の墨に触ってしまってよく紙を汚していました。

 数か月前、名古屋で「字手紙」の講師をされている長谷川喜千(はせがわ・よしかず)さんから「あかしや新毛筆」を紹介してもらいました。

 日本の毛筆発祥の地である奈良県で、300年以上の歴史を持つ筆問屋「あかしや」の職人さんが作っているこの筆ペンは速乾性に優れているので、書いた直後に便箋を重ねても紙が墨で汚れることがありません。

 それに伴い和紙を使うようになりました。私が使うのは茨城の「西の内和紙」。以前本紙で紹介したことがある五行詩詩人の田中薫さんが作ってくれる私の名前入りの和紙の便箋です。

 この和紙に「あかしや新毛筆」で手紙を書く心地良さが堪らなく好きで、私の生活空間にすっかり溶け込んでいます。

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 もう一つ、私のお気に入りの「和の文化」があります。それは宮崎市の木工作家・宮国淳(みやくに・きよし)さんが作る木のスプーンです。 

 平和台公園という観光地の中にある「ひむか村の宝箱」というお店にそのスプーンはありました。

 初めて見たとき、オーナーの池辺宣子さんが、「これね、子どもが使うと、口の中に入ったときの触感が気持ちいいので、これ以外のスプーンを使わなくなるの」と話してくれたのですが、私も今それを実感しています。

 宮国さんが作るスプーンは彼が一本一本、木を削って手作りしたもの。何度も何度も磨きをかけて、その上に漆を塗っています。子どもに漆のアレルギーが出ないように、作り上げて、しばらく寝かせています。何年も使っていて漆が剥げてきたら、また塗り直してくれますから、ずっと使い続けることができます。

 私が小さな子どもさんにプレゼントするときは、まずこのスプーンに決めています。子どもは大人以上に使い心地を分かってくれますから。傷んだら直してもらい、大人になっても使い続けてくれたら嬉しいなぁと思っています。検索キーワードは「木と漆の工房みやくに」です。
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