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くるみの談話室 2514号(2013/07/08)
世代を越える絵本の魅力

本紙代表 松田くるみ
 千葉短期大学の学長で、同付属高校校長の佐久間勝彦さんから『学び続ける教師に』というご著書をいただきました。

 教師はどうあらねばならないかということがうかがえるタイトルです。

 52編のエッセイ一つひとつの洞察がとても深くて、考えさせられるものばかりです。中でも『まぎれもなく《じぶん》に読み聞かせてくれている人』というエッセイがとても心に沁みました。

◎          ◎


 著者は、「『現場としての授業』をつくるために力をみがきあう会」という勉強会を主宰しているらしく、毎回、いろんな教材を使って参加者と学び合っているようです。 

 ある例会で取り上げた教材は、朝日歌壇(朝日新聞)に掲載された恩田規子さんという人の「償いのように絵本を読み聞かせ叱ってばかりの今日を閉じゆく」という短歌でした。

 母親であろう作者が、一日の終わりに子どもに絵本を読んで聞かせたときの歌ですが、「償いのように」と書き出していることから、つい感情的に子どもを叱ってしまい、そのことを子どもに詫びるような気持ちで寝る前に絵本を読んであげている光景が目に浮かびます。

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 私も3人の子どもたちが小学校高学年まで就寝前に絵本を読んであげていました。子どものために読んでいた絵本だったのに、いつの間にか読んでいる私自身が癒されていたように思います。

 子どもたちが育ち上がっても、絵本を読むという心地よさが体から抜けなくて、3年前から近くの中学校の読み聞かせグループに入り、定期的に各クラスを回って絵本を読んでいます。

 相手は中学生ですから、最初の頃は「今さら絵本なんて」という、戸惑いの気持ちが生徒たちから感じられていました。それでも読んでいくと、引き込んでしまうのが絵本の持つ魅力です。

 今年は驚いたことに、1年1組から始めた読み聞かせでしたが、みんなすぐに聴く姿勢に入りました。小学生の頃から学校で読み聞かせを続けている学年が中学校に上がってきたからでした。

 「今年の1年生から違ってくるだろうね」と予想していた通り、小さな変化がことのほか嬉しかった読み聞かせでした。

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 ノンフィクション作家の柳田邦男さんは「大人こそ絵本を読もう」と呼びかけています。きっと大人になっても絵本というのは特別なものではないかと思います。ぜひ皆さんも折に触れて手に取っていただければと思います。

 ちなみに、読み聞かせグループはこの夏、「学校の怪談」を企画しています。夜の学校で怖い絵本を読み聞かせするというものです。怖い絵本は大人も震えあがるほどです。初めてなのでどうなることか・・・。
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