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くるみの談話室 2685号(2017/03/06)
「ご苦労様」と言ってあげたい

本紙代表 松田くるみ
 編集長の著書『日本一心を揺るがす新聞の社説』は、これまでシリーズで3編出ています。時々その中の文章の一部が大学や高校の入試問題に採用されることがあります。

 昨年度は東京学芸大学の推薦入試問題に『過去を意味あるものにするために』という社説が使われました。

 5年ほど前には関西にある県立高校の入試問題(作文)に『社会から無言の称賛を感じる感性』が採用されました。たとえばそれはこんな感じです。

◎          ◎


 「次の文章を読んで、あなたが思ったことや考えたことをあなた自身の経験にもとづいて回答用紙に書きなさい」

 雪かきをする人は、雪かきをしているところをたくさんの人から目撃されることはない。

 …そのきれいに雪かきされた道をみんな当たり前のように歩いて出勤する。中には「俺が起きる前に誰かが雪かきをしてくれたんだ」なんて思いながら職場に急ぐ人もいるかもしれないが、誰がしたのかも分からないので、その感謝の気持ちが言葉になることはない。…

 誰も見ていないし、誰からも称賛されることはない。それでもその地味な仕事を誰かがやらなければならないし、そういうことをする人がいることで実は社会全体はうまく回っている。


◎          ◎


 以前私は、道にごみが落ちていてもそれほど気になりませんでした。しかし「掃除に学ぶ会」に参加するようになってから、落ちているごみが気になり始め、自然にごみを拾うようになりました。

 それでも小動物が車にはねられた後の死骸の処理は無理です。だから猫や犬の死骸が道路上にあっても避けて通ります。ところが翌日にはその死骸も片づけられています。

 私は市民から連絡を受けた市の担当者が片づけているんだと思っていました。

 先月、宮崎市倫理法人会のモーニングセミナーで、(株)坂口組の専務・坂口浩さんのお話を聴きました。

 坂口さんの会社は道路建設に関わっているのですが、動物の死骸処理も仕事の一つなのだそうです。「動物が死んでます」と住民から行政窓口に連絡が入ると、そこから土木事務所に伝わり、それぞれの道路を担当している建設会社に連絡が行き、そこの社員が現場に駆けつけます。

 坂口さんには忘れられないクリスマスの思い出があります。

 ある年のクリスマスイブのこと。坂口さんは早めに仕事を終えて帰宅しました。そして、いよいよこれから子どもたちと一緒にケーキを食べようという時に、土木事務所から連絡が入り、泣く泣く死骸処理の現場に向かったというのです。

 誰からも見られず、誰からも称賛されない死骸処理。思わず坂口さんに手を合わせました。
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