くるみの談話室 2366号(2010/05/24)
急いで産まれてきた命
本紙代表 松田くるみ
今年、初孫が生まれました。昨年夏に学生結婚した長女の娘です。ちょうど1年前、大学3年(鹿児島)の娘は付き合っていた1年先輩の彼との間に子どもができ、電話でその話を聞いたときはびっくりして腰が抜けました。でも「どうしたいの?」と聞くと、彼の就職も決まったし、お互い産みたいということだったので、「産んだらいいよ」と伝えました。ほどなくして彼のご両親が我が家に来られました。結納のこと、結婚式のこと、彼の卒業後のことなどを話し合い、あれよあれよと話は進み、2ヵ月後には加江田神社で神前結婚式をしました。身内だけの宴もささやかながら満足のいくものとなりました。
私はいつも遠くを見つめて今を計画して動くのが好きですが、今回ばかりはどう準備したらよいのか分かりませんでした。
昨年の秋、娘は身重の体で小学校の教育実習に行き、1月に出産し、その月末には期末試験に臨んでいました。彼は卒業論文と卒業制作で忙しく、私はもう「場当たり的に動くしかない」と腹をくくりました。娘には「学生だし、1人では何もできないから、SOSをいつも出すように」と話しておきました。
ばたばたと月日が流れ、あっという間に春を迎えました。中堅の建設会社に就職した彼は、面接では九州内の営業所を希望していたにもかかわらず、あっさりと横浜営業所に配属となり、娘は宮崎に戻り、我が家から毎日電車で鹿児島に通学とあいなりました。肝心の赤ちゃんですが、私たち夫婦がヒーヒー言いながら保育園の送迎をやっております。
◎ ◎
「案ずるより産むが易し」と言いますが、娘の電話を受けたとき、自分でもよく「産んだらいいよ」と言えたものだと思います。現状を考えたら反対の言葉の一つも出ていたでしょう。そのとき思ったのは、産める時に産んでおくのが一番よいのではないかということです。でも、そんな理由はたいしたことではありませんでした。
実はあのとき、彼のお母さんの体をがんが蝕んでいたのでした。昨年8月の結婚式の少し前に見つかり、余命宣告も受けていたそうです。
彼のお母さんは今年の1月、鹿児島の娘たちのアパートに1週間ほど泊まって産後のお世話をしてくれました。おそらく相当体もきつかったと思いますが、娘も私たちもそんな事情は知りませんでした。今思うと、最後の力を振り絞って孫をお世話してくれたのだと思います。
それから3ヵ月後、帰らぬ人となりました。53歳でした。赤ちゃんはそれを知っていて急いで産まれてきたのかなぁと、寝顔を見ながら思う今日この頃です。
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2366号