くるみの談話室 2468号(2012/07/16)
30代の感性を受け止めて…
本紙代表 松田くるみ
同じ話を聞いても、感じ方って人それぞれ違います。世代によっても違うし、極端に賛否両論に分かれることもあります。先週号2面の心屋仁之助さんの記事もそうでした。「『あぁどうせ私ってダメな人間だし…』と、すぐネガティブなことを言わないで、これからは『どうせ私は人気者だし…』とか『どうせ私はかわいいし…』と、言葉に出してみましょう」というような話です。
これに対して、「この日本語の使い方は如何なものか」というご意見が編集部に寄せられました。実は私も「どうせ」という言葉の次に前向きな言葉を入れることに抵抗があり、素直に受け入れられませんでした。
後日、編集長とこの件で話し合いをしました。するとこう話してくれました。
「社長のように、ポジティブ思考の人には分からないと思うけれど、自分に悲観的な人は、『どうせ自分には無理だし』とか、『どうせ自分はダメだし』と、すぐ思ってしまい、それをつい口に出してしまうんです。そんなとき、『どうせ』と言った瞬間、おっといけないと思ってプラスの言葉を使うことで、気持ちがマイナスに向かうのを止めてくれるんです。心屋さんはカウンセラーなので、悩みを抱えている人と日々向き合っている。そういう人にとってはすごいメッセージなんですよ」
その言葉を聞いたとき、私の判断で掲載をストップしなくてよかったと思いました。私が「良かれ」と思う感性だけの新聞なら、とても単純な内容の新聞になることでしょう。前向きばかりの話だと読者さんも疲れてしまうかもしれません。
◎ ◎
私も50代になりました。ふと周りを見回すと、講演会で全国的に活躍している人たちに、40代、30代の人たちが本当に多くなりました。
以前、講演会の講師と言えば、常に50代以上の、人生経験豊かな人たちばかりだったので、その講師の話を素直に聴けました。でも、これからは益々年下の人たちの講演が多くなります。新たな感性をこの新聞に吹き込んでいけるように、取材スタッフの「面白い」と思う感性を、まずは“受け止めて”いきたいと思います。
『大事なことは「30代」に訊け!』(東海大学出版会)という本があります。いつの時代もこの世代が持つ感性が次の時代をつくっていくのではないかと思います。
私も編集長も、30代のときに本紙を引き継ぎ、情報発信するようになりました。あのとき、「こんなの新聞じゃない!」と言われたこともありました。でも、たくさんの先輩たちがこの新聞を読んで、大きな、素直な気持ちで受け止めてくれたおかげで今があると思います。私もそんな年配者になりたいと思いました。
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2468号