くるみの談話室 2463号(2012/06/11)
感じたら会いに行く
本紙代表 松田くるみ
先週末、鹿児島県霧島市にある㈱鎌田建設の社内研修の講演会に参加しました。講師は、福岡県の元公立高校校長で、福岡和白リハビリテーション学院の学院長、長瀬泰信さんです。長瀬さんは、校長時代、マスコミなどで知った「すごい人」に直接会いに行くことを日課としていました。生徒たちに、マスコミが伝える姿ではなく、長瀬さん自身が感じ取った「人となり」を伝えたいと思ったからです。
会いたいと思ったら、まず手紙を書きます。すぐに会ってくださる人もいれば、何十通も出してようやく会えた人もいました。
銭湯でお客さんの背中を流し続けて半世紀の橘秀雪さん、94歳の鰹漁師、山下天吉さん(H19年当時・現在は故人)と操さんご夫妻、松本サリン事件の第一通報者で、誤認逮捕された河野義行さんなど、会いに行った人たちは150人を超えます。
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遺伝子の解読で有名な筑波大学名誉教授、村上和雄先生からは、2通目の手紙を出した後、直接電話が来てびっくりしたそうです。「ちょうど大分で講演があるから、大分でお会いしましょう」と。
緊張していた長瀬さんに、村上先生は「年を取ると物忘れがひどくなり、ズボンのチャックも閉め忘れます。でもチャックを開けることを忘れておしっこをしてしまうよりましです」と話され、長瀬さんの緊張を取り除いてくれたとか。
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長瀬さんは、お会いした方々を「校長便り」に掲載して、生徒に発信し続けました。どのような職業に就いてもそこで一生懸命仕事をしている姿を通して、その人の生き方を生徒に伝えてきました。
退職する最後の年の体育祭でのことです。プログラムがすべて終わり、保護者も帰ってしまったグラウンドに呼び出されました。行ってみると、全校生徒が人文字で「WE LOVE 校長」と書いていました。これには、人前で泣いたことのない長瀬さん、今までやってきたことが生徒に伝わったんだと、嬉し涙が止まりませんでした。
退職したとき、同じ教師だった奥様から「本当なら今頃はもう家のローンは終わっているはずなのにね」と言われました。それほど給料の大半を取材活動に費やしていたのでした。二人とも退職して、今は会いたい人には二人で取材に出かけることもあるそうです。
やっぱり本や新聞、テレビで得た情報よりも、実際に会いに行って聞いた話は、全然違うんですよね。
長瀬さんがコツコツ会いに行った人たちのことは著書『清々しく、やさしく、丁寧に、力強く生きる』(文芸社)にまとめられています。
- 逆に励まされる電話掛け
- 「掃除をする」から「掃除に学ぶ」へ
- 入院中も楽しく友だちづくり
- 3か月前を思い起こす
- 何気ない一言で……
- その後、母はどうなったか……
- 30周年ありがとう講演会&祝賀会、宮崎会場
- おかげさまで30年
- 全国の中学校・高校に日本講演新聞を届けたい
- 終わりを思い描くことから始める
- 健康寿命、人生120年も夢じゃない
- 耳で聴く日本講演新聞、無料配信中
- 免疫力を上げるのは自助努力
- 英語を通して日本語を学ぶ
- 「馬の糞三つってありますか?」
- 取材する側から開催する側にも
- オンライン講演会の時代
- 書の持つエネルギー
- 子どもたちの健康を守りたい一心で
- 日本講演新聞のあるある
- 次の時代にも、そして次の世代にも…
- 購読料の値上げにご理解をお願いします
- 「日本」という枠にこだわらず
- 手つかずだから自然なのですね
- ステキな人生を作りましょう
- 流れに乗って繋がっていく
- いつまでも私たちの胸の中に
- 未来に希望を振り撒く新聞に…
- 幸せな人持ち人生
- 遥か大昔のご先祖の話
2463号